高庵寺の雌松(赤松)ピンチです2020.11.20
高庵寺のシンボル、雄松(黒松)と雌松(赤松)、毎年主治医に手入れしてもらっています。
その主治医です。
栃木県内でたぶんトップの植木屋さんです。
この方です。
矢印が雌松です。
えーと、男松、雄松、黒松、全て同じ松です。
女松、雌松、赤松も同じですよ。
最近、法要堂前の松葉の落ち葉が急増していました。
雄松の方は玄関から直ぐに目に飛び込んでくるのですが、雌松は振り返らないと見えないんです…(言い訳です)
ということで、最近まで気がつきませんでした。
ありゃりゃ!
ピーンチ(;´д`)トホホ
直ぐに主治医に見てもらいました。
主治医には今年も9月の彼岸直前に手入れをしてもらっています。
「住職様、おそらくマツクイムシの被害かと…」
「正直言って治療法はありません」
「2〜3週間、様子を見させて下さい」
「まだ元気な葉も残っています」
「自然治癒力しか方法はありません」
「ダメなら、伐採になります」
「マツクイムシの被害」とはマツノザイセンチュウによる枯死です。
理研のHPに記載されています。
マツノザイセンチュウ
北アメリカ原産、北海道を除く全国に分布。
発生限界温度10℃とされている。
ほとんどの松枯れの主原因。
日本ではアカマツ、クロマツ、リュウキュウマツに寄生する。マツノマダラカミキリ等の成虫により伝搬する。
カミキリが付けた傷口からマツの樹体内へ侵入し,主に樹脂道を移動し繁殖する。
一世代4〜5日(25℃)、1回に80〜100個産卵するため、1対の雌雄から15日後には26万頭にまで増殖するといわれる。
マツノザイセンチュウが感染した松への治療薬・資材はありません。
マツノザイセンチュウの松への感染を防ぐ予防対策が重要です。
@媒介者(感染源)であるマツノマダラカミキリ等の防除を行う。(殺虫剤散布、感染・枯損木の伐倒駆除など)
A感染前(冬季)にセンチュウ予防剤の処理を行う。(松枯れ予防樹幹注入剤)
これがマツノザイセンチュウです。
枯死がこのセンチュウによるものだということははっきりしていますが、そのメカニズムはまだよく分かっていないようです。
但し、中間宿主が「マツノマダラカミキリ」ということは、はっきりしています。
このカミキリの駆除が一定の効果があるのは確かなんですが…
その駆除は薬剤散布となるため、散布地域の昆虫の大虐殺になってしまいます。
カミキリの天敵も駆除してしまいますし、生態系を破壊してしまいます。
つまり、薬剤散布には功罪があり、ベストな方法かは疑問があるのです。
我が足利市でも薬剤の空中散布が行われていました。
栃木県足利市では1980年から松枯れ対策と称して農薬の空中散布が行われてきました。91年には民有林650ヘクタール、国有林214.5ヘクタールにNAC40%の原液が12キロリットル散布されました。
92年に3月に足利市内の39団体が連名で関係各団体に申し入れ書を提出し、4月に「足利の松くい虫防除のための空中散布に反対する連絡会」が結成されました。
連絡会では人口の約1割に当たる14,500名の空散反対の署名を集め、市と市議会に陳情しました。
これだけの反対署名があれば国会審議の経過からも当然空散は中止になるはずですが、市は家屋や公共施設から200メートル離しただけで空散を強行しました。
貴重な野生生物であるオオタカの生息が確認されると、営巣の恐れのある15ヘクタールを見合わせるとして、民有林346ヘクタール、国有林215ヘクタールに空散されました。
高庵寺住職も里山散策が趣味でした。(現在は高齢のため、散策は平地になりましたが…)
散布後に、大量の昆虫たちの死屍累々を見て心を痛めていました。
現在は空中散布は水田だけになりました。
ドローンによる散布ですね。
以前は有人ヘリによる散布ですから、規模が全く違います。
「足利の松くい虫防除のための空中散布」はなくなったんです。
そもそも、マツノザイセンチュウによる松枯れ病の正確なメカニズムは未だ未解明なんです。
「マツ材線虫病(通称:マツ枯れ、マツ食い虫)」とは枯死を伴うマツ科樹木の感染症であり(図1)、世界四大樹木病害の1つに数えられます。
本病はマツノザイセンチュウと呼ばれる小さな線虫 注1)がマツに寄生することによって引き起こされます。
研究チームは、マツに侵入したマツノザイセンチュウが、宿主マツの防御応答を回避するために、樹体内の三次元的な移動に適した形態へと変化していることを明らかにしました。
また、マツノザイセンチュウが宿主マツに寄生した際に、腸の微絨毛が著しく萎縮することも確認し、マツノザイセンチュウの巧妙な寄生戦略をとらえることに成功しました。
これらの知見は、マツノザイセンチュウがマツ樹体内環境に適応し、急激な病気を引き起こす仕組みを理解するための重要な発見となります。
本研究成果は、浴野さんと桐野さんが共筆頭著者、新屋良治講師が責任著者となった論文として、2020年7月14日付で科学雑誌Scientific Reportsに掲載されました。
本論文はオープンアクセスになっています。
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